甲状腺機能低下症の症状①
甲状腺機能低下症の症状は、 疲労をはじめ、無気力、眠気、記憶力の低下、 体重の増加、低体温、肌の乾燥など多義に渡ります。これら症状のいくつかが当てはまる場合、 病院での検査(甲状腺ホルモン、甲状腺刺激ホルモン)が最も確実な方法ですが、 病院に行く前に、ご家庭でできる簡単なチェック内容について、紹介しています。
甲状腺機能低下症かも?と思ったら
甲状腺機能低下症かどうかを判断する大きな指標は、 「その症状が常に出ているかどうか」です。これは甲状腺機能低下症という病気が、 自然治癒することがないため、 症状が慢性的に続くからです。
甲状腺機能低下症かも?と思ったら
■基本
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35歳以上は5年に一度は甲状腺の検査を
アメリカ甲状腺学会は、高齢者ほど有症率が高いこと、 および、潜在患者数が多いこと(ご自身が甲状腺疾患であることに気づいていない割合が60%)を理由に、 35歳以上の人を対象に、5年ごとに甲状腺ホルモン濃度の測定、甲状腺機能障害について検査することを勧めています。心拍数の低下
病院によって異なるものの、 甲状腺機能低下症かどうか判断する時に行われる診察です。これは、 甲状腺ホルモン、 特にトリヨードサイロニン(T3)は 直接および間接的に心臓に影響を与えるため、 甲状腺機能低下症患者の多くは、心拍数が正常値より低くなるためです。
心拍数の低下を症状とする疾患は、 カリウム過多、うっ血性心筋症、脳内出血など緊急を有する疾患が多いものの、 甲状腺機能低下症も心拍数の低下を症状とする代表的な病気です。
分子生物学の専門誌に掲載された内容(※1)によると、 甲状腺ホルモンの受容体が欠損したマウスでは、 平時、および、甲状腺ホルモン刺激時の両方で、 心拍数が20%低下した、と発表しています。
一般人の心拍数はおおむね60~100回/分ですが、 この下限である60回を下回る場合、 甲状腺ホルモンの分泌低下、 甲状腺機能低下症の可能性があります。
ただし、睡眠時の心拍数は50以下であることも珍しくないほか、 スポーツ心臓を持つ人の心拍数も低いことが多いため、 ご注意下さい。
参考:
※1:1997年「甲状腺ホルモン受容体α1欠損マウスにおける異常な心拍数や体温」
※1:1997年「甲状腺ホルモン受容体α1欠損マウスにおける異常な心拍数や体温」
体重の増加・基礎代謝の低下
甲状腺は「エネルギーを作り出す臓器」と呼ばれ、 その機能が低下するとエネルギーを作れなくなるため、 基礎代謝が大幅に低下し、体重が増加しやすくなります。肥満の国際ジャーナルに掲載されている内容によると、 「甲状腺機能低下症の患者は、正常時と比較するとおよそ15%以上の体重増加の傾向がみられる」 と掲載しています。
また、甲状腺機能低下症患者の中には、 毎日の食事摂取カロリーを、1,000kcal以下に抑えているにも関わらず、 「痩せない」と訴える人もいるほどです。
体重の増加を症状とする病気については、 痩せない原因は病気の可能性をご参照ください。
低体温症・冷え性
冷え性や低体温の原因となる病気はいくつかあるものの、 そのうちの一つが甲状腺機能低下症です。冷え性や低体温の原因は、 体内における熱の産出量の低下、熱の放出量の増加、薬物などいくつかの原因があるものの、 甲状腺機能低下症、副腎機能の低下、低血糖症などは、 熱そのものの産出量低下によるものです。
ある研究(※1)によると、 甲状腺阻害ホルモンの投与によって甲状腺ホルモン(T3、T4)を低減させたマウスでは、 3日後には体の深部温度が0.5℃低下し、 代謝発熱量も低下した、と発表しています。
また、甲状腺機能低下症患者は、 低体温、冷え性に関連して、以下の様な症状を有する場合があります。
甲状腺機能低下症と冷え性
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参考:
※1:「プロピル投与誘導による甲状腺機能低下症ラットの制御された低体温」
※1:「プロピル投与誘導による甲状腺機能低下症ラットの制御された低体温」
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