甲状腺の病気(甲状腺機能低下症)は女性に多い
甲状腺の病気、甲状腺機能低下症は女性に多いことと、 年齢とともに有病率が高くなることが特徴です。国・統計・調査手法による違いはあるものの、 世界的にも甲状腺機能低下症の潜在患者数は人口比でおよそ10~25%程度とされ、 女性は男性と比較すると、1.5~8倍高くなります。
また、年齢とともに有症(病)率が増加するため、 高齢かつ女性で、甲状腺機能低下症の症状を有する場合、 病院で検査をしてもらうことが、疲労など各主症状の治療の近道かもしれません。
甲状腺機能低下症の症状や判断については、以下をご参照ください。
日本の患者数
甲状腺の自己抗体検査
日本内分泌学会が発表している「甲状腺機能異常を示す患者総数」によると、 甲状腺の自己抗体検査(Tg、TPO)が陽性の割合から、 「約2,385万人が潜在的な甲状腺疾患(殆どが橋本病?)を有することになる」と発表しています。
甲状腺の自己抗体検査(Tg、TPO)が陽性の割合(健康診断受診者)
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甲状腺の自己抗体検査が陽性であることは、 甲状腺疾患であることとイコールではないものの、 TgAb(抗サイログロブリン抗体)とTPOAb(抗ペルオキシダーゼ抗体)が陽性の場合、 自己抗体が甲状腺を破壊し、甲状腺ホルモンの産出量が現在あるいは将来的に低下する可能性があることを示します。 (まれにバセドウ病でも陽性になります。)
参考:
※:日本内分泌学会:「潜在性甲状腺機能低下症の実態調査」
※:日本内分泌学会:「潜在性甲状腺機能低下症の実態調査」
その他甲状腺疾患患者数
また、上記発表において、 甲状腺ホルモンは正常なものの、 甲状腺刺激ホルモン(TSH)が高値である「潜在性甲状腺機能低下症」(将来甲状腺機能低下症になる可能性のある病気)の割合は4.3%(474.1万人)、 甲状腺ホルモンと甲状腺刺激ホルモン(TSH)の両方に異常が見られる顕性甲状腺機能低下症は0.60%と発表しています。
甲状腺機能低下症の患者数
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参考:
※:日本内分泌学会:「潜在性甲状腺機能低下症の実態調査」
※:日本内分泌学会:「潜在性甲状腺機能低下症の実態調査」
アメリカの患者数
アメリカ甲状腺学会(ATA)が発表している内容によると、 アメリカでの甲状腺疾患の有症率は12%以上と推測しており、 このうち、およそ60%が甲状腺疾患に気づいていない、と発表しています。そして、女性は男性より有症率が5~8倍高く、 男女共通で約8人に1人が生涯の間に甲状腺疾患を発症する、と発表しています。
また別の調査(※1)によると、 甲状腺疾患のうち、 その78.7%が甲状腺機能低下症であると発表しています。
甲状腺疾患の患者数(アメリカ)
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参考:
※:アメリカ甲状腺学会(ATA)
※1:第三者米国国民健康栄養調査(NHANES Ⅲ)
※:アメリカ甲状腺学会(ATA)
※1:第三者米国国民健康栄養調査(NHANES Ⅲ)
フランスの患者数
フランスのある論文(※1)によると、 フランス国内での甲状腺機能低下症の有症率は0.4~2%であり、 年齢とともに有症率が増加し、 女性は男性より3~10倍有症率が高く、 50歳を超えた場合の甲状腺機能低下症の有病率を15%としています。また、フランス国内で行われた11,256人(対象は10,346人)の男女を対象とした別の調査(※2)によると、 甲状腺刺激ホルモン(TSH)が正常値より低い人(亢進症の可能性)は、 男性で7.0%、女性で4.4%であり、 甲状腺刺激ホルモン(TSH)が正常値より高い人(低下症の可能性)は、 男性で4.0%、女性で11.1%でした。
また、この調査では、 対象とする年齢が35歳~60歳と限定的ではあったものの、 過去または現在において甲状腺疾患を有する患者8.1%が研究の対象から最初に除かれていました。
甲状腺疾患の潜在・顕在患者数(フランス)
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参考:
※1:マルク・クラインら「甲状腺疾患の疫学」
※2:フランス国立衛生研究所サンモーリス「(前略)フランス成人における甲状腺ホルモンレベルと甲状腺機能障害」
※1:マルク・クラインら「甲状腺疾患の疫学」
※2:フランス国立衛生研究所サンモーリス「(前略)フランス成人における甲状腺ホルモンレベルと甲状腺機能障害」
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