太陽が疲労の原因?

太陽が疲労の原因?

太陽が疲労の原因?
太陽光は少なすぎても、多すぎても疲労を招きます。

紫外線による皮膚の老化が多くの人に認知された結果、 太陽光を浴びることは良くないと考えられるようになったものの、 それは太陽光の一側面でしかありません。

太陽光が不足し過ぎると、うつ病や概日リズム睡眠障害などの睡眠障害を発症します。 また、太陽光が多すぎても皮膚の老化だけでなく、疲労を伴う疾患を発症します。

ここでは、疲労の原因、防止の観点から、 太陽光の効果、太陽光不足が原因となる疾患、太陽光過剰が原因となる疾患、 疾患予防のため太陽光を浴びる時間について紹介しています。

太陽光がなぜ疲労回復に効果があるのか

太陽光がなぜ疲労回復に効果があるのか
太陽の光が疲労に効果があるのは、3つの特徴によるものです。
  • 睡眠誘導物質であるメラトニンの生成を抑制し、脳を覚醒する
  • 幸福ホルモンであるセロトニンを生成する
  • ビタミンDを生成する
これらは疲労症状がない人にとっても良い影響を与えます。
太陽光は自然な朝の目覚めを促し、脳を幸せにし、栄養素を作ってくれます。
言い換えると、太陽光が不足すると、これらの効果を得ることができなくなります。

ビタミンDは食事から摂取しても同じ効果を得られるものの、 太陽光不足によりこれらの恩恵を享受できないと、疲労を伴う重要な疾患を発症する場合があります。

概日リズム睡眠障害

人間を含むほとんどの生物は概日リズムと呼ばれる24時間を周期とする体内時計にリンクして活動しています。
太陽の光を浴びずに生活すると、この概日リズムが少しずつずれ、その人の活動周期が24時間をオーバーしたり、 24時間未満となってしまいます。

その結果、会社や学校など社会で求められる時間と自身の体内時計にズレが生じるため、 睡眠不足や不眠症、疲労を発症します。
この体内時計の狂いによる病気を概日リズム睡眠障害といいます。
睡眠障害のより詳しい説明は睡眠障害一覧をご参照下さい。

このズレた体内時計をリセットし、外部環境にあわせてくれるのが太陽の光です。
太陽の光が網膜を通じて視床下部に存在するこの体内時計をリセットし、 睡眠誘導物質であるメラトニンの生成を抑え、脳を覚醒してくれます。
太陽の光以外だと、5,000ルクス以上の光を30分以上、数週間浴びると良くなります。

季節性情動障害

疲労を伴い、うつ病に似た病気である季節性情動障害も太陽光不足が原因と推測されています。
季節性情動障害は夏や冬など、ある季節に関連して発現する病気で、季節の終わりを迎えると自然治癒します。

季節性情動障害の原因は未だ推測や仮説の段階であるものの、 冬季の季節性情動障害は太陽の光が原因の一つと推測され、 実際に光療法によって治癒することが確認されています。
その他、セロトニン不足、空気中のイオン、気温なども原因と考えれています。

日本
(東京)
日本
(札幌)
カナダ
(オタワ)
カナダ(イエロー
ナイフ)
フィンランド
(ロバニエミ)
ノルウェー
(北極圏)
9時間48分 9時間04分 8時間49分 5時間11分 2時間45分 0時間00分
備考:1月1日の値を参考

日の出、日没の時間は国、特に緯度によって異なるため、 季節性情動障害は日照時間が少ないほど発症しやすく、 北極、北欧、カナダなどが多くなっています。
日本での患者数は不明ですが、アメリカで1.5%~9%、 フィンランドでは9.5%と推定されています。
太陽の光以外だと、2,500ルクス以上の光を30分以上、数週間浴びると症状が良くなります。

うつ病

うつ病の原因の一つにセロトニンの不足があります。
このセロトニンを増やす方法の一つに太陽の光があります。

これはラットの実験を始め、死体解剖結果などから、 太陽光を浴びた時間と脳内セロトニンの合成量に相関関係があることが判明しています。
また、冬季より夏季にセロトニン合成量が多く、時間だけでなく、明るいほどより多く作られます。
さらに、セロトニン合成に利用されるビタミンDは太陽の光によって作らるため、 太陽光を浴びることは多くのセロトニンを作り出します。

どの程度太陽光を浴びれば良いのか

室内 室内の照明(家) 50~100
室内の照明(オフィス) 200~500
自然光 1未満
100
曇り 500
晴れ(木陰) 10,000~25,000
晴れ(直接) 32,000~100,000
単位:ルクス
病気を患っている、いないに関わらず午前中に太陽光を浴びることは 概日リズムをリセットし、睡眠誘導物質であるメラトニンの分泌を正常化し、 脳を覚醒してくれるなど、いいことずくめです。

起床後すぐに窓を開け、太陽の光を浴びると、気持ち良い目覚め迎えることができます。

概日リズム睡眠障害を患っている場合も午前の太陽光が効果が高いものの、 交代勤務やシフトなどで睡眠時間で疲労や睡眠不足を発症している場合には事情が異なりますので、 専門の医師にご相談下さい。

うつ病の場合、午前よりも太陽の日差しが強い午後の方がセロトニン分泌の効果はより大きくなります。
季節性情動障害もセロトニン仮説に従うなら午後のほうが効果は高くなります。
ただし、強い日差しを浴びすぎると他の疾患を発症することもあるため、注意が必要です。

太陽光による弊害

太陽光は紫外線による皮膚の老化に代表されるように、良い面ばかりでもありません。
強い太陽光は日焼け、白内障、皮膚がん、皮膚老化などを引き起こします。

日焼け

太陽光がなぜ疲労回復に効果があるのか
普段太陽光を浴びない人や、一日に大量の紫外線を浴びると重度の日焼けを起こします。
具体的には、受けた紫外線量が人体で作成可能なメラニン量をオーバーすると皮膚が炎症を起こします。

重度の日焼けは以下の症状を引き起こします。
  • 疲労
  • 脱力感
  • めまい
  • 頭痛
  • 吐き気
  • 筋肉痛
特に疲労は皮膚の炎症による体温の上昇と高熱により脱水症状が原因とされています。
脱水を防ぐため、スポーツドリンクなどによる水分補給が重要です。
症状がひどい場合には医師にご相談下さい。

その他

夏場の強い紫外線のを浴びると疲労感や眠気、場合によっては頭痛やめまいを伴うことがあります。
原因は日光アレルギー、低血糖症、夏型季節性情動障害などが考えられます。

長袖や帽子など防護服を着用し、直接の原因である日差しを浴びない工夫をし、 各疾患の症状を緩和する対策を実施して下さい。


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