カフェインは疲労の原因?

カフェインは疲労の原因?

カフェインは疲労の原因?
カフェインは「疲労の原因である」と同時に、「疲労の回復剤」でもあります。

あるシーンにおいてはカフェインのプラス効果が取り上げられ、 あるシーンにおいてはカフェインのマイナス面が取り上げられます。 それら両方が正しいため、カフェインはその特性を知ることと、ご自身の体調と相談して適量を摂取するのが得策です。
ここではカフェインと疲労の関係について、 なぜカフェインが疲労の原因となるのか、カフェインがなぜ疲労の回復剤となるのか、 カフェインが多く含まれる飲み物、 疲労回復のためのカフェインの利用方法、 一日の推奨摂取量、その他特徴など紹介しています。

カフェインとともに語られることが多いタウリンや疲労回復ドリンクについては、 疲労回復ドリンクの効果とは?や、 タウリンの疲労回復効果とはをご参照下さい。

カフェインはなぜ疲労の原因となるのか

カフェインが疲労の原因となる5つの要素
  • セロトニンの減少
  • ビタミンDの減少
  • ストレスホルモンを増加させる
  • 睡眠への影響
  • 記憶力の低下

セロトニンの減少

カフェインを毎日摂取すると、おおよそ25~30%セロトニン受容体を増加させると言われます。
しかし、これは幸せホルモンであるセロトニンの増加でなく、セロトニンの減少とそれに伴う疲労を意味します。

セロトニンはセロトニンとそれをキャッチする受容体によって情報伝達が行われるのですが、 カフェインによってセロトニンそのものが減るため、少ない量でも情報をしっかりキャッチできるよう、 受容体のみが増加します。
うつ病患者に対してカフェインが禁止されたり、コーヒーを止めて疲労やうつ病が快方に向かうのもセロトニンの減少が元に戻るからです。 セロトニンと疲労の関係については、セロトニンと疲労をご参照下さい。

ビタミンDの減少

ビタミンDは疲労回復に役立つ重要な栄養素ですが、カフェインはこのビタミンDを減少させます。

フロリダ大学とクレイトン大学が実施した共同研究において、カフェインがビタミンDの吸収を阻害すること、 及び、カフェインの量が多いほど阻害率が高くなることを明らかにしました。

※ビタミンBとカフェインの関係は明確になっていないため、ここでは取り上げていません。

ストレスホルモンを増加させる

カフェインは疲労の原因となるストレスを増加させます。
ストレスを与えられるとアドレナリンとコルチゾールの異常分泌が行われますが、 カフェイン消費によるアドレナリンとコルチゾールの分泌量は、ストレスを与えられた時と同量程度になります。

このアドレナリンとコルチゾールの異常分泌量は身体に悪影響を与え、 ラットを使った実験では、ストレスを与え続けただけのラットよりも、 ストレス+カフェイン摂取のラットの方が早死する、という研究結果があります。
アドレナリンやコルチゾールに関わる疲労については、副腎疲労をご参照下さい。

睡眠への影響

カフェインは眠気防止に効果がありますが、言い換えると疲労回復の主役である睡眠を妨げます。
通常の成人が体内でカフェインを半減するのにおおよそ6時間かかり、カフェインの効果が消滅するのに8~12時間、 完全に除去するのには数日を要します。

カフェインと睡眠に関する各種研究においても、睡眠6時間前にカフェインを摂取すると、 睡眠の質及び量の両方が減少する、と明らかにされています。
そのため、就寝時間によるものの、午後以降はカフェインを取らない方が良いとされています。 睡眠に関わる疲労については、睡眠障害と疲労をご参照下さい。

記憶力の低下

カフェインは疲労症状の一つである記憶力の低下を招きます。

カフェインと記憶力の関係については昔から多くの議論、研究が実施されてきました。 より古い文献や研究においてはカフェインは記憶力を向上させるととする主旨のものが多かったのですが、 最近では、それら研究の誤りが指摘され、新たな研究が行われた結果、 カフェインは記憶力を低下させるとする主張が一般的となりつつあります。

カフェインはなぜ疲労を回復するのか

ドーパミンが増加し、やる気、行動量が増加する

カフェインは疲労を回復 ドーパミンが増加
ドーパミンはやる気を起こさせる神経伝達物質です。
疲労症状の例としてやる気やモティベーションの低下がありますが、カフェインはこのやる気物質であるドーパミンを増加させます。

アメリカのある雑誌に掲載されたインタビューによると、少し大げさですが、カフェインによるドーパミンの増加とそれに伴う行動量の増加はコカインにも匹敵するほどである、と言っています。
2001年、カリアリ大学で行われた実験においても、カフェインを静脈投与したところ、脳内ドーパミン濃度が増加したとする論文が発表されています。

最近の研究によると、カフェインはドーパミン受容体と機能的に相互作用しているアデノシン受容体における競合的拮抗作用により、 ドーパミン活性を増強することが明らかになりました。

リボースと組み合わせると150%の運動時間増加

アメリカのバイオエネルギーライフサイエンス社はエネルギー製品に使用される成分比率研究のための マウスを使った実験において、カフェインとリボース(糖の一種)を組み合わせることで、運動時間の向上に効果があったとする研究を発表しました。

1~2日目の運動量(遊泳時間)を基準値とし運動をそのまま続けたところ、3日目に運動量が20%下落しました。
実験の対象となる4日目に通常の食事とリボースとカフェインを与えたところ、以下のような結果が出ました。

カフェインとリボースと運動量の関係
  • グルコースのみ【結果:100%】:遊泳時間は最初の2日と同じ時間に戻った。
  • カフェインのみ【結果:悪化】:遊泳時間は最初の2日間よりも低下した。
  • リボースのみ【結果:135%】:遊泳時間は最初の2日間より135パーセント改善した。
  • リボース50%カフェイン50%【結果:150%】:遊泳時間は最初の2日間より150パーセント改善した。

そのため疲労の観点からは、コーヒーはブラックではなく、砂糖と一緒に取ることがより望ましいと言えます。

カフェインはコーヒー以外にも多く含まれる

多くの人にとって、カフェインのイメージはコーヒーですが、 カフェインはコーヒー以外の多くの飲料にも含まれています。

カフェイン含有量
コーヒー エナジードリンク お茶、その他
コーヒー
(150ml)
60mg レッドブル
(250ml)
80mg 玉露
(60ml)
160mg
エスプレッソ
(30ml)
40~75mg モンスターエナジー
(355ml)
142mg 緑茶
(430ml)
10~30mg
スターバックスラテ
(354ml)
110mg アリナミンV
(50ml)
50mg 麦茶
(500ml)
0mg
紅茶
(360ml)
30mg
一部参考:文部科学省

疲労回復にカフェインを使うには・・・

推奨されるカフェインの摂取量と時間
カフェインは疲労の原因にも、疲労の回復剤にもなるため、うまくカフェインと付き合うことが必要です。

短期ではプラス、長期ではマイナス

カフェイン摂取による、ドーパミンの増加、やる気、行動量の増加は非常に魅力的です。
反面、慢性的なカフェインの摂取はセロトニンの減少、ストレスホルモンの増加など、 疲労へのマイナスの影響しかありません。
それらを十分理解し、摂取量、摂取時間、自身の体調などに気をつけ、カフェインとうまく付き合うことが大切です。
以下、具体的な内容となります。

摂取量は2~3杯を限度とする

カフェインは摂取し過ぎると害にしかならず、最悪のケースでは死につながることもあります。

特に毎日カフェインを500mg以上摂取し続けると、不眠症を始めとする精神不安の症状が多く現れるようになり危険です。
コーヒーの場合、1杯250mlあたり100mgのカフェインが含まれるため、5杯が限度です(150mlあたり60mg含有で計算)。
コーヒーのメーカー、カフェイン含有量によっては更に低い杯数が限度になります。
カフェインによる短所を露呈しないためにはその半分、一日あたり2~3杯を限度とするのが良いでしょう。
エナジードリンクなどの疲労回復ドリンクも同様に2缶程度が限度となります。

14時以降は摂取しない

上記でも取り上げましたが、カフェインの摂取後、半減するのに6時間、効果がなくなるのにおおよそ8時間~12時間程度かかります。
そのため、夜22時に寝る人の場合、朝の10時、遅くとも14時以降はカフェインを取ると入眠が困難になり睡眠不足、疲労蓄積につながるため、 14時以降はカフェインを取らないように注意すべきです。

ときどき休止日を設ける

カフェインはアルコール同様、身体から完全になくなるのに時間を要します。
カフェインは半減期に6時間、完全になくなるのに数日を要します。
そのため、必要な時にカフェインそのものの効果を上げるためにも、また、身体からカフェインの影響を一時的に排除するにも、 不要な日はカフェインを摂取しない日を設けることが重要です。

カフェイン不耐症の人はデメリットが大きい

上記特性を活かしながらカフェインを利用することで、カフェインは疲労回復に効果を発揮します。

しかし、カフェインを消化する酵素がないカフェイン不耐症の人は、 デメリットが多すぎるため、カフェインを摂取しないことが最も疲労回復効果が高くなります。

食物不耐症については、疲労の原因「食物不耐症」とはをご参照下さい。

妊娠中は特に注意

妊娠中は特に注意
妊娠中の女性はカフェインを控えるよう、あるいは摂取しないよう医者から注意を受けます。

赤ちゃんはカフェインの分解、排出する代謝能力が大人と比較して極端に低いため、体内にカフェインが長期間とどまります。 その結果、カフェインを一定以上摂取し続けると、 自然流産、低出生体重、発育障害、早産などにつながる恐れがあるためです。

妊婦の体重や健康状態、医者によって異なるものの、多くとも1日200mg~300mg程度が限度とされています。

更年期も注意が必要

また、更年期も注意が必要です。 カフェインは女性の更年期の症状である「寝汗」「ほてり」にも影響し、 カフェインの摂取量を減らすことは、これら更年期の症状を緩和してくれます。

カフェインをやめるには

カフェインはアルコールや麻薬同様、中毒性があります。
そのため、カフェインを中止した直後には離脱症状として、疲労感や無気力状態、眠気、不眠症などの症状が出ることがあります。
この離脱症状は2週間程度続きます。

カフェインをやめる方法として、徐々に摂取量を減らして行く方法と、 水やカフェインレスコーヒーなどに置き換えてスパっとやめる方法のどちらかが医者から提案されます。

自分と相性の良い方法がやめるのが良いでしょう。 ただし、水以外の各種飲料にはカフェインが含まれている可能性があるため、 各種ドリンクに含まれるカフェイン量には常に注意することが必要です。



カフェインは疲労の原因? 先頭へ
関連ページ
メニュー・目次一覧へ

運動不足が疲労の原因
このエントリーをはてなブックマークに追加