アスパラギン酸で疲労回復

アスパラギン酸で疲労回復

アスパラギン酸で疲労回復
アスパラギン酸は疲労回復の栄養素として、多くの栄養ドリンクに利用されています。

野菜のアスパラガスから発見されたことからその名称が付けられ、 トマトの味の主成分でもあり、 栄養ドリンク以外にも人工甘味料アスパルテーム、化粧品、医療薬など、様々な用途で利用されています。

また、人間の体内で生合成されることから、 非必須アミノ酸(他の栄養素を摂取すれば体内で合成できるアミノ酸)になっています。

ここでは、アスパラギン酸がなぜ疲労回復に効果があるのか、アスパラギン酸を多く含む食品、アスパラギン酸の一般的な効能について紹介しています。

なぜアスパラギン酸が疲労回復に効果があるのか

アスパラギン酸が疲労回復に効果があるのは以下の4つの効果によるものです。

アスパラギン酸の疲労回復効果
  • エネルギー産出に寄与する(タンパク質、糖新生)
  • 毒素を体外に排出する
  • 肝機能を保護する
  • ストレス抵抗性を高める

エネルギー産出に寄与する(タンパク質、糖新生)

アスパラギン酸は2つの方法でエネルギーを産出に寄与します。
1つはタンパク質代謝、もう1つは糖新生です。

タンパク質は脂質、炭水化物と並んで人間の3大栄養素ですが、 このタンパク質を代謝し、エネルギーを作り出すTCA回路に必要な物質を作り出すのに、 アスパラギン酸が利用されます。

また、体内でグルコースが不足すると人間はエネルギーを作り出すことができなくなりますが、 このグルコースを炭水化物以外から作り出す代謝経路(アミノ酸の糖新生)にアスパラギン酸が利用されます。
激しく体力を消耗し、グルコースが不足するような疲労に有益です。

ある実験において、カルニチンとアスパラギン酸の混合物をラットに摂取させ飼育したところ、 組織におけるグリコーゲンの量が増加し、運動の持続時間が延長したという研究があります。

毒素を体外に排出する

アスパラギン酸は体内を巡る毒素であるアンモニアを尿に合成する作用があります。
体内で発生したアンモニアは無害な尿として排出されず、血液に残ると毒性となり中枢系にダメージを与えます。
また、一説にはアンモニアは疲労物質として作用するのでは、とする考えも存在します。
この毒素を体外に排出するのに、アスパラギン酸、オルニチン、アルギニンが利用されます。

肝機能を保護する

アスパラギン酸は毒素であるアンモニアを素早く無毒化し、体外に放出することで肝臓を保護する作用があります。
ただし、この作用については検証データ不足により、懐疑的な意見も見られます。

ストレス抵抗性を高める

アスパラギン酸は興奮性の神経伝達物質で、 中枢神経において興奮性神経伝達を担う興奮性アミノ酸として作用し、 ストレス抵抗性を高めると考えられています。

ストレス抵抗性を高めることでうつ病や副腎疲労などの疾患を予防する効果があります。
(ただし、ストレスそのものが長期化する場合は様々な疾患の原因となります。)

アスパラギン酸を多く含む食品

アスパラギン酸はアスパラガスのイメージが強いものの、 他の食品と比較するとアスパラガスの含有量はそれほど多くはなく、 大豆および大豆製品に多く含まれます。
ただし熱に弱いため、調理の際は加熱しすぎないよう注意が必要です。

アスパラギン酸を多く含む食品
大豆タンパク 10,000mg かつお加工品 7,200~7,300mg
湯葉 6,800mg ガゼイン 6,300mg
その他 高野豆腐、豚(ゼラチン)、きな粉、しらす干し

アスパラギン酸のその他の効果

美容

コラーゲンのアミノ組織において、 アスパラギン酸が大量に含まれることから、美容への効果が期待され、 多くの化粧品に含まれています。

免疫力を高める

ピコリンとアスパラギン酸と亜鉛の複合体は様々なウィルスに影響を与え、ウィルスの繁殖を防止する効果があります。
また、アスパラギン酸はRNA、DNAの機能において、抗体合成の生産にも非常に重要であるとされています。
その他、胸腺の重要な免疫刺激剤となり、放射線の有害な影響の一部から保護する作用もあります。

心筋保護

動脈血量の減少による局所の貧血(虚血)や閉塞した血管を再び開通させる(再潅流)によって引き起こされる代謝ダメージ、 機能的ダメージから、心臓を保護する作用がある効果的な成分とされています。

その他

慢性肝炎、心筋代謝障害、低カリウム、鉄欠乏性貧血、 成長ホルモン欠損症、肝硬変、てんかん、統合失調症、アルツハイマー病に有益とされています。
ただし、統合失調症に関しては、 有益であるとする説以外に、 統合失調症の初期段階ではアスパラギン酸の低下は見られず、病状が慢性化した患者のみ低下していたとする研究から、 アスパラギン酸と統合失調症は関係はないとする報告もあります。

アスパラギン酸の副作用、その他

アスパラギン酸は過剰摂取による健康への被害は無いとされるものの、 人工甘味料アスパルテームの大量摂取により、米国で頭痛が報告された例があります。(ただし、アスパラギン酸との因果関係は不明)

癌との因果関係はない

人工甘味料アスパルテームと癌の因果関係について、 米国国立がん研究所は、アスパルテームと癌を結ぶ証拠はないと述べており、安全とされています。

アルコール代謝を阻害

アスパラギン酸はアルコールの代謝を阻害します。
そのため、お酒やアルコールを飲む場合は避けた方が良いでしょう。


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