Lカルニチンで疲労回復

Lカルニチンで疲労回復

Lカルニチンで疲労回復
Lカルニチンが疲労回復に効果があります。
一方、Lカルニチンに疲労回復効果は無いとする意見や心血管疾患に繋がるとする意見もあります。

Lカルニチンは体内で合成され、エネルギー生産に重要な役割を果たすものの、 なぜLカルニチンが疲労回復に効果があるのかの原理はよく分かっていません。
しかし、Lカルニチンによる疲労回復効果を検証したいくつかのデータと心血管疾患に繋がる研究が存在しています。

ここでは、Lカルニチンについて紹介しています。

Lカルニチンとは

Lカルニチンは、必須アミノ酸であるリジンとメチオニンから体内で生合成される物質です。
体内のほぼ全ての細胞に存在し、エネルギー生産に重要な役割を果たしています。

具体的にはミトコンドリア内に長鎖脂肪酸を輸送し、脂肪を燃焼することで、エネルギーを作り出します。
脂肪はそのままではミトコンドリア内膜を通過することができないのですが、 Lカルニチンと結合することで、ミトコンドリア内膜まで脂肪を運び、エネルギーに変えることができます。

そのため、Lカルニチンはダイエットや脂肪燃焼効果に焦点が当てられることが多くなっています。

なぜLカルニチンが疲労回復に効果があるのか

なぜLカルニチンが疲労回復に効果があるのか、そのメカニズムはよく分かっていません。
しかし、Lカルニチンと疲労回復の関係をしめす研究が幾つか存在します。

70歳以上の疲労症状を持つ人を対象とした実験

70歳以上(平均年令76歳)の疲労症状を持つ人を対象に180日に渡って行われた実験において、 プラセボグループはほとんど効果がなかったものの、 Lカルニチンを1日2回、2g摂取したグループは、 肉体疲労、精神疲労、認知機能、疲労重症度、運動後の疲労時間、睡眠障害など、 疲労症状全般に大きな効果がありました。
特に、運動後の疲労、肉体疲労、睡眠障害での効果が高くなっていました。

オランダでの研究

オランダで行われた研究では、90人の慢性疲労症候群患者に、 24週間に渡ってアセチルLカルニチン、および、プロビオニルLカルニチンをそれぞれ2g投与したところ、 アセチルLカルニチンを投与によって59%の症状改善がみられ、プロビオニルLカルニチンの投与では63%の症状改善が見られました。ただし、両方を投与した場合は37%しか改善しませんでした。
これは慢性疲労症候群に対して、アセチルLカルニチンの効果が優先されるためではないか、と推測されています。

慢性疲労症候群の症状、治療については、慢性疲労症候群の症状と治療をご参照下さい。

多くの疲労を伴う疾患に有効

Lカルニチンは医療での現場でも利用されることが多く、 慢性疲労症候群を始め、線維筋痛症、多発性硬化症、肝炎(C型)、セリアック病などに利用されています。

Lカルニチンで疲労回復

Lカルニチンは体内で生合成されるものの、その量は少なく1日わずか20mg程度とされています。
また、食事から得られるLカルニチン量は20~200mgとされています。

必要摂取量(1日) 必須ではない

カルニチン欠乏予防に利用される量
経口摂取の場合:1,000mg/日

その他疾患に伴うカルニチン摂取は概ね注射によって投与されるため、 各医療機関をご参照下さい。
多く含む食品 羊肉
(100g)
221mg
牛肉
(100g)
190mg
豚肉
(100g)
118mg
その他Lカルニチンを多く含む食品 ロブスター、岩牡蠣、乳製品など
過剰症状 不明

  • 吐き気、嘔吐などの報告がありますが、用量が不明です。
  • 1日5g以上の摂取で下痢の報告があります。
  • 息が生臭くなった、体臭が発生するようになった、との報告があります。
  • その他、腎臓の問題、糖尿病、アレルギーがある場合は医師への相談が必要とされています。
参考:厚生労働省

カルニチンが不足しがちな人

体内でのLカルニチン生成量は20代をピークに減少すると考えられています。 従ってLカルニチンは、食事環境や加齢に応じた摂取を行うことが望ましい食品成分と思われます。

また、妊娠中は体内のカルニチンが減少することが報告されており、特に妊娠12週目以降大幅に減少します。

Lカルニチンが心血管疾患のリスクに繋がる可能性

肉食と心血管系疾患に関わる研究(※1)により、 これまで健康に良いとされ、多くの医師が摂取を推奨していた赤肉に含まれるカルニチンが、 アテローム性動脈硬化を進行させる可能性があるとわかりました。

この研究では、 腸内細菌の分布状態(人によって異なる)によって、 赤肉がアテローム性動脈硬化を進行させる可能性が指摘されており、 結果、全米で「カルニチン論争」が起こりました。

この論争には様々な機関(食肉業界、医療業界、各研究者、スポーツ業界など)が意見を発表しており、 未だ明確な答えは出ていないものの、 「食事によるコレステロールの摂取と同様の歴史を繰り返してはならない」とし、 更なる研究が必要である、とされています。

参考:
※1:ネイチャーメディスン:「赤肉に含まれる栄養素であるL-カルニチンは腸内細菌叢の代謝によりアテローム性動脈硬化を促進する」

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