仕事を疲労の原因にしない知恵

仕事を疲労の原因にしない知恵

仕事を疲労の原因にしない知恵
疲労の原因の一つに仕事があります。

仕事は長時間労働や長時間通勤などの肉体疲労、 管理職からのいじめ、ストレスなどによる精神疲労、 さらにマルチタスクなどによる脳疲労など、 様々な疲労の原因となります。

多くのサラリーマンにとって、仕事は生活の大部分の時間を占めるだけでなく、 家族を養うため、家賃を払うためなど生活の手段でもあるため、多少のストレスや疲労があっても我慢し続けてしまいます。

しかし、その忍耐が限界を超えると、重大な疾患となってその人の健康、家族、生活を奪ってしまいます。
ここでは、それら重大な疾患を防げるよう、また日々の疲労を軽減できるよう、 仕事を疲労の原因にしない知恵について、紹介しています。

仕事の能力を上げる脳疲労の回復については、脳疲労の回復方法を、 また、ストレスによる精神疲労については、精神的ストレスと疲労解消法をご参照下さい。

仕事上の主な疲労の原因を知る

仕事から生じる疲労には、労働環境、仕事の進め方、仕事の位置づけ、マネジメント、雇用と5つの要素があります。

仕事上の主な疲労の原因
労働環境 仕事の進め方 仕事の位置づけ
  • 長時間労働
  • シフト作業、交代勤務
  • 退屈、孤独
  • 通勤時間
  • マルチタスク
  • 抱え込み
  • 考え続ける
  • 興味のない仕事
  • スキルの身につかない仕事、スキルの冗長性
  • 仕事中毒
マネジメント 雇用
  • フィードバック
  • 意思決定への不参加
  • 不明瞭な指示、役割
  • 上司のストレス
  • 丸投げ
  • 任せない、過監督
  • 無計画
  • サポート欠如
  • 成果不在
  • いじめ、嫌がらせ
  • 失業
  • 不安定な業績
  • 長期雇用契約

以下、それぞれの疲労の原因と対処法について、詳しく解説していきます。

労働環境が疲労に与える影響を知る

労働環境は疲労に大きな影響を与えます。
日本の就労者における特徴的な数字は、以下の通りです。


疲労の原因~仕事~
参考:日本政府統計
  • 実働時間が長くなるにつれて疲れを感じやすく、8時間を超えると累進的疲れを感じるようになり、12時間を超えると87%の人が疲れを感じる
  • 通勤は疲労に影響し、長時間通勤で疲労を感じない人はほとんどいない
  • 深夜勤務、交代制勤務がある仕事は同じ仕事内容であってもより疲れを感じやすい
  • 睡眠は疲労を回復する手段であり、5時間未満だと疲労を回復できず、8時間以上だと18%も疲労感を感じる人が減少する

短時間睡眠や深夜勤務は疲労感を増す

睡眠は疲労を回復する大切な手段です。
そのため、睡眠時間が不足していたり、睡眠の質が悪いと疲労を回復できません。
また、深夜勤務や交代勤務は睡眠障害の一つである概日リズム睡眠障害を生じやすくなります。
睡眠障害や不眠症の解消については、睡眠障害が疲労の原因不眠症解消方法一覧をご参照下さい。

労働環境改善の話し合いをする

労働環境の改善は非常に難しい問題です。
しかし納得できる内容や提案であれば、管理職やバックオフィスも対応してくれる場合があります。
多くの企業が福利厚生の一環として定時退社日や徒歩圏内通勤手当補助などを導入し、効果をあげています。
人事部や福利厚生担当者と話し合い、他社事例を参考にすることで自社に導入できる改善案があるかもしれません。

仕事の進め方を工夫して疲労を回避する

仕事上、脳が疲労しやすい条件は以下の3つです。
これら3つの仕事の進め方を回避することで、疲労の原因を断つことができます。

疲労を促す3つの仕事の進め方
  • マルチタスク
  • 抱え込み
  • 考え続ける

マルチタスクを避ける

マルチタスクは業務効率を大きく低下させ、かつ、疲労を増加させます。

特に不慣れな仕事、難しい仕事の場合、その傾向は顕著になります。
スタンフォード大学で行われた研究では、1つのタスクを順に処理するよりも、 マルチタスクで作業するほうが品質、時間ともに低下すると報告しています。

ヨーロッパの研究では、マルチタスク処理は前頭前野にボトルネックを作成し、 それが脳疲労の原因になるとされています。
特にできる人ほど複数の作業やプロジェクトに参加させられることが多い傾向にありますが、 マルチタスクによって本人が疲弊するだけでなく、作業やプロジェクトの質も低下するため、 あまり良い方法とは言えません。

適度に休息を取る

抱え込みや考え続けることは加速度的に疲労を増加させます。
それらを回避するには一定間隔ごとに休息を取ることです。

仕事中に適度な休息を取ることは生産性を向上させ、疲労を軽減することは広く知られています。
特に軽い運動やストレッチは血流を良くするため、脳疲労を軽減するのに非常に効果が高くなっています。
食後の眠気を取る場合、15~30分程度の昼寝は心身をリフレッシュします。
ただし、夜間の睡眠不足の代償に昼寝を利用する場合や30分以上の睡眠、午後3時以降の睡眠は夜間の睡眠不足や睡眠障害を引き起こすため、避けたほうが良いでしょう。

脳疲労の回復方法については、脳疲労の回復方法をご参照下さい。

仕事の位置づけを見直して疲労を回避する

目標や願望を持ち将来独立したい、出世したいと考える人にとって、 スキルが身につかない仕事、誰がやっても同じ仕事は非常に退屈でしかありません。

特に若い人ほどその思いが強く、自分ではその現状を打破できないため、ストレスがたまり疲労が発生します。

また、仕事中毒に関しては、好きなことを寝食を忘れ没頭しすぎてると、疲労の原因になるという戒めの意味以上に、 仕事しか生きがいがない場合、それが失敗したり退職などで失った時の精神的ストレスは常人でははかれないほど大きく、 ストレスによる疲労よりも、一気にうつ病の率が高まります。

環境を変える、意識を変える

やりたいことが出来ないことに対する対処方法は、 転職などにより会社を変える、目標を失う、今の環境を変えるよう努力する、時が来るのを待つなど様々な方法がありますが、 どれが正しいとは一概には言えず、本人の性格や志向に依存します。

転職は仕事の位置づけを変えることなく、最も容易な目標実現手段です。
反面、多くの人が転職に失敗している現実があります。
特に転職前には景気の良い話をする担当者が多いものの、 実情はそれほど甘くはないため、転職前の会社の見極めがキーとなります。

目標を捨てたり、時が来るのを待つことは悪い方向に進むと無気力なやる気のない人になることもあります。
これらは自分のやりたいことを押し殺し過ぎないことが必要です。

今の環境を変える努力をすることは、それ自体が大きなストレスになります。
一方、成功した時には大きな達成感もあるため、ストレスに強い人には向いているかもしれません。

また、 これら仕事の位置づけは本人以上にその上司である管理職のマネジメント能力に依存する部分が多くなっています。

自分のせいでなく、マネジメント能力の欠如であると知る

精神疲労やストレス、うつ病のほとんどは管理職のマネジメント能力に依存すると言っても過言ではありません。
しかし、一部の管理職は、部下のマネジメントに対する責務を放棄しており、 そのマネジメント方法が部下に多くのストレスと疲労感を与えています。

ここでは管理職が部下に疲労を起こさせないために何をすべきか、という視点ではなく(そのような考慮、配慮のできる管理職は部下の疲労の原因とならないため)、疲労を生じる部下の立場から、管理職の何が疲労の原因となっているのか、またそれらを回避する方法の一例を紹介しています。

部下がやる気を失う原因 部下がイライラしたり、
不安を増加させる原因
管理者能力欠如、存在そのものがストレスになる原因
  • フィードバックなし
  • 意思決定への不参加
  • 任せない、過監督
  • 不明瞭な指示、役割
  • 上司のストレスの伝染
  • 無計画
  • 丸投げ
  • サポート欠如
  • 成果不在
  • いじめ、嫌がらせ

自分のせいでなく、マネジメント能力の欠如であると知る

多くの部下にとって、管理職のマネジメント方法が正しいのか、判断することはできません。
理由は自身がマネジメントの経験がないためです。
その結果、管理職のマネジメント方法が、やる気を阻害したり、イライラの原因になっていると理解しつつも、 それに対抗する方法がないため、ストレスや疲労の原因になります。

まずは、管理職のマネジメント方法が心理学的にストレスや疲労の原因になる行動をとっている、 という事実を知るだけでも、 自分の責任でない、という開放感や対抗する手段の発見からストレスや疲労の減少につながります。

管理職の仕事を理解してもらう

管理職によっては自身のマネジメント方法がストレスや疲労を招く原因になっていることを知らない場合があります。
もし、管理方法に不備があり、それがストレスとなって自分の能力を発揮できないならば、まずは管理職本人と良く話し合うことが重要です。

さらに上の人と話し合う

管理職の話に納得できない場合、あるいは、管理職に改善する気がない場合、経営者に相談するのが最も近道です。 なぜなら、経営者ほど優秀な管理職を望み、無能な管理職を不要と考える人はいないからです。

見切りをつける

それでも改善しない場合、あるいは、納得できない場合は、その程度の会社であると早めに見切りをつけることです。
経営者は多くの企業にとって絶対の存在であり、その考えが正しいか間違っているかに関わらず変更することは残念ながらできないからです。

ここではストレス対処法のうち、「ストレッサーをなくす」、「対処能力を強化する」の中から問題解決と他者利用を一例としてあげています。その他ストレス対処方法の基本的な考え方については、精神的ストレス対処の考え方をご参照下さい。

雇用不安はそれだけで疲労を招く

正社員以外の人にとって、慢性的な不安、ストレスとなる問題が雇用不安です。
そして、非正規社員である限りこの不安が消えることはありません。
このストレスに対処するには、現在の会社で正社員になる、他の会社で正社員になる、など雇用が安定する方法を探る以外にありません。


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