血流悪化が疲労の原因
血流の悪化は体のだるさや倦怠感と言った疲労の大きな原因の一つです。血流が悪化すると身体が必要とする全ての栄養素と酸素が正しく運搬されず、 エネルギーが不足します。
また、血流が悪化すると不要な老廃物、二酸化炭素を体外に排出することができず、 身体の中に長くとどまり、倦怠感やだるさといった疲労の原因となります。
ここでは、疲労の原因である血流悪化の症状、原因、回復方法について、紹介しています。
血流の改善方法については、 血流改善で疲労回復をご参照下さい。
血流悪化の症状
血流悪化の症状
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疲労・体のだるさ
血流は酸素と栄養素を体内の細胞に運ぶ働きと、不要な老廃物や二酸化炭素を回収する働きがあります。血流が悪いことは、体内の細胞が栄養をエネルギーに変換できないことと、 細胞内に不要な毒素がたまることを意味します。
そのため、血流が悪いと、体がだるい、体が疲れやすい、という症状が現れます。
また、血流が悪いと各栄養素を細胞に届ける毛細血管が劣化し、 やがては死んでしまうため、更に疲労しやすくなってしまいます。
脳疲労(認知力低下)
脳の重量は人体のおよそ2%しかありませんが、体内の酸素のおよそ20%を消費します。体内の他の細胞よりもはるかに高い代謝率を誇り、脳は酸素の供給が途絶えると細胞が死に絶えてしまいます。
運動やガムを食べることが脳疲労や認知力の向上に良い理由は、 脳への血流が良くなり、酸素供給量、栄養供給量が良くなるためです。 脳疲労・認知機能回復については、 脳疲労の回復方法をご参照下さい。
その他
その他、水分が十分に行き渡らないことによる肌の乾燥やかゆみ、 毛細血管の死亡や血液の遮断により、体温維持の低下による冷え性、 酸素不足によるチアノーゼ、免疫力の低下による傷の治癒速度の低下、 肝臓での血流不足による食欲不振、消化システムの劣化による便秘などが起こります。血流悪化の直接の原因
血流悪化には、病気や生活習慣など様々な原因がありますが、 直接的な原因は5つです。血液は心臓によって押し出されますが、その流れの早さを決めるのは、 血液の質(ドロドロ・さらさら、赤血球)と血管の太さです。
具体的な血流悪化の原因は、次の「血流悪化の原因」をご参照下さい。
血流悪化の直接の原因
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送り出すポンプ(心臓)
心臓は血液を送り出すポンプです。このポンプが病気などで弱まると、血流が悪化します。
また、心臓そのものに異常がなくとも、以下の項目に問題がある場合、 より高い負荷で同じ血流を維持しようとするため、血圧が高くなってしまいます。
ドロドロ血液
血液そのものがドロドロの場合、心臓の働きが同じであっても、血流は明らかに遅くなります。血液をドロドロにする原因は、糖分や脂肪分、アルコールなどの過剰摂取による血小板の凝集、 赤血球の連鎖(赤血球が凝集し固まりになること)、ひどい水分不足などです。
血管の太さ
血管そのものが細いと、血流は当然悪くなってしまいます。血管は気温やホルモンの働き、体温の上昇など、状況に応じて太くなったり細くなったりしますが、 恒常的に血管そのものを細くしてしまう原因があります。
タバコ、運動不足、血糖値の上昇、高脂血症、 高尿酸血症などは通常時の血管を細める原因となります。 それぞれについては、血流悪化の原因で紹介しています。
毛細血管の減少・変形
毛細血管は使われないとその数が減少します。また、食事、運動、生活などに影響を受け、血管の形がグニョグニョと蛇行を繰り返したり、 途中で枝分かれしたり、ねじれたりといったいびつな毛細血管となります。 このような毛細血管は血液を流すのに非常に多くの時間を要すため、血流が悪化する原因となります。
赤血球
赤血球(厳密にはヘモグロビン)は酸素を運ぶ重要な役割を持つ血液細胞ですが、 赤血球は直径が5~10μmと毛細血管の直径5μmより大きいため、通常は変形して血管内を通ります。しかし、糖分などはこの赤血球を硬化させ、変形しにくくすることで血流を阻害します。
また、タバコなどは一酸化窒素と結びつくことで赤血球の酸素運搬量を減少させます。
血流悪化の原因
血流悪化の原因
食事・栄養 | 運動 | 生活習慣・ストレス |
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病気 | その他 | |
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食事・栄養が血流悪化の原因
水分不足
血液は、赤血球、白血球、血小板などの血液細胞が存在するものの、その50%以上は水分です。そのため、水分が必要以上に不足すると、血液中の水分量が減少しベトベトの血液となり、血流が悪化します。
特に夏場は大量の汗をかき、睡眠時には水分補給が行われないなどの理由から、不足しがちとなり、血流が悪化しやすくなります。
また、不足していない状態であっても温かい水分を補給することは、血流を良くする効果があります。
糖分の取り過ぎ、糖尿病
血液に糖分が多く含まれるといわゆるドロドロ血液になってしまいます。理由は、糖分によって血中に中性脂肪が増加するため、血小板が凝集しやくすなるからです。
また、糖分は赤血球を変形させてしまいます。
特に赤血球が毛細血管を通る場合、その細さに合わせて、赤血球が変形する必要があるのですが、 糖分によって固くなった赤血球はこの毛細血管を通れなくなったり、通るスピードが非常に遅くなってしまいまいます。 その結果、血流が悪化し体のだるさ、疲労の原因となります。
脂肪分
血液中に中性脂肪やコレステロールが異常に増えすぎた状態を脂質異常症と言い、血流悪化だけでなく、最悪の場合、血栓により血流そのものがストップしてしまいます。脂質異常症の原因は遺伝や運動不足、喫煙など様々ですが、 最も大きな原因は食事です。
その中でも飽和脂肪酸、いわゆる動物性脂肪が最も大きな影響を与えます。
その他、糖分やコレステロールの過剰摂取も脂質異常症の原因となります。
鉄分不足・貧血
貧血の中でも最も多い原因が鉄分の不足による鉄欠乏性貧血です。鉄分が不足すると、酸素運搬に必要なヘモグロビンそのものを作れなくなります。
血液の流れる早さとは異なるものの、酸素不足は身体の各細胞が十分働けなくなる要因となります。
特に女性の患者数は多く、日本だけでも200万人以上と言われています。
鉄分不足による疲労については、鉄分不足が疲労の原因をご参照下さい。
運動不足が血流悪化の原因
運動不足・筋肉不足
細胞分裂の盛んな若い年代ではあまり影響はないものの、 毛細血管は年齢と共に衰え、減少していきます。この減少に歯止めをかける一方法が運動です。
また、筋肉は血流を補助する働きがあります。
心臓から出た血液は、筋肉が動くことにより静脈が押しつぶされ、 血管内の血液がより早く心臓に戻ることを助けます。
運動が不足すると、筋肉が衰え、血流を悪化させます。
筋肉量減少と疲労、血流の関係については、 サルコペニア(筋肉量減少)が疲労の原因をご参照下さい。
生活・ストレスが血流悪化の原因
更年期、ストレスなどホルモンの乱れ
毛細血管の血流はそのほとんどが毛細血管そのものの動きでなく、 毛細血管につながる「細動脈」という血管の拡張により血流量が決まります。この細動脈は心拍とは無関係に、怒りやストレスなど交感神経活動が活性化すると、 闘争に備えるため、各臓器に血液を送り全身の血流を良くなるものの、 細動脈は閉じられるため、毛細血管への血流は悪くなります。
反対に、精神がリラックスして副交感神経の働きが活発になると、 細動脈が開き、毛細血管の血流量が増えます。
怒りやストレスを軽減し、疲労を回復するには、精神的ストレスが疲労の原因をご参照下さい。
タバコ
タバコには様々な害がありますが、 血流悪化の原因となるのは、タバコが身体を冷やす作用があるためです。ニコチンは末梢血管を収縮させ、血流量を減少させます。
また、一酸化炭素は強力に赤血球のヘモグロビンと結合するため、 酸素供給も減少してしまいます。
お酒
お酒はアルコールの力により、一時的に血管を拡張し血流が良くなるものの、長くは続きません。アルコールが抜けると、血小板の凝集や赤血球の死滅などにより、血流が飲む前より悪くなってしまいます。
また、長期の常用飲酒は血流を悪化させ血圧を上げることが様々な実験で明らかにされています。
病気が血流悪化の原因
冷え症
冷え性は血流悪化の症状の一つですが、原因の一つでもあります。血管は体温により、開いたり、閉じたりすることで太さを変えます。
特に寒い時には少しでも体温を奪われないようにするため、血管を閉じることで体温を維持しようとします。
そのため、冷え性になると体温を維持しようと血管が閉じている状態が多くなるため、全身の血流が悪くなっています。
糖尿病
糖尿病は血糖値だけでなく、血流も悪化させます。理由は血糖値が高いからです。
糖分は血小板を凝縮させ、赤血球を変形させ、血流を悪くします。 また、糖尿病患者は、動脈硬化、高血圧、心臓病のリスクが高く、 潜在的に更に血流が悪化する可能性があります。
甲状腺機能低下症
甲状腺機能低下症の症状の一つが血流の悪化です。この甲状腺機能低下症による血流の悪化は、心拍数の低下によるもので、 心拍数が60回/分を下回る場合、甲状腺機能低下症の疑いがあります。
甲状腺機能低下症による血流の悪化は、 手足だけでなく、脳への血流が減少することから、 集中力低下、記憶力低下、アルツハイマーなどにもつながる恐れがあります。
甲状腺機能低下症については、甲状腺機能低下症が疲労の原因か判断するをご参照下さい。
その他病気
血圧が80mmHGを下回る低血圧は慢性的に全身の血流が悪い状態で、 身体の各臓器、倦怠感、頭痛などを引き起こします。その他血液を送り出す心臓そのものの疾患や、動脈内に突起が発生することで血流を阻害する動脈硬化、末梢血管疾患、静脈瘤、血塊、レイノー病、口呼吸なども血流を悪化させる原因となります。
その他血流悪化の原因
加齢
加齢は筋肉や臓器の衰え、ホルモンバランスの乱れなどにより血流悪化に様々な影響を与えますが、 特筆すべきは毛細血管数の減少です。毛細血管は20歳代をピークに年々減少し、60歳では実にピーク時の40%を失ってしまいます。
毛細血管は血流だけでなく、各組織へ酸素と栄養を届け、二酸化炭素と老廃物を回収する役割があるため、 毛細血管の減少は、血流の悪化だけでなく、身体中の全ての器官の劣化と疲労につながります。
咀嚼、歯のかみ合わせ
顔の血流量を決める要因の一つに咀嚼があります。顔の各部位のうち、最も動きが大きく、かつ、首筋から頭部にかけて流れる血液の流れを増加させるためです。
そのため、咀嚼回数が少ないと自然と血流量が減ってしまいます。
また、噛み合わせが悪いと、肩こりや首のコリができ、 血管を圧迫するため、顔や頭の血流が悪くなってしまいます。
特に噛むことは脳への血流量に影響するため、脳疲労や倦怠感の解消には噛むことは非常に重要です。
脳への血流量を増やす方法、脳疲労の回復方法については、 脳疲労の回復方法をご参照下さい。
薬
薬の種類によっては一時的に血流を悪化させる薬があります。 ステロイドは一時的に血流を大きく減少させることで、腫れを取り除きます。また、切れ痔に使われるクリームには止血のため、血流を悪くするメチルエフェドリンやテトラヒドロゾリンなどが使われます。
その他、鼻炎用内服液に使われるフェニレフリン塩酸塩や頭痛薬に使われるリザトリプタンなどにも血管の収縮を促し血流を悪くする成分が含まれています。
身体の歪み
身体の歪みや猫背は、歪みによる筋肉のコリが発生し、血流を悪くします。また、大きな歪みは骨によって血管そのものを圧迫することもあります。
長時間同じ姿勢でいつづけることも、エコノミークラス症候群に代表されるように、 血流を悪くする原因となります。
身体の歪みと姿勢が原因の疲労は姿勢の悪化が疲労の原因をご参照下さい。
季節
冬場は特に外気が低くなることから自然と体温が低下し、血流が悪化します。血流悪化の原因と疲労 先頭へ |
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