ビタミンBの疲労回復効果とは

疲労の原因・回復~ビタミンB~

疲労の原因~ビタミンB~
疲労を回復する栄養素として、最も有名で多くの人に食されているのがビタミンBです。

日本だけでなく、世界でも疲労回復と言えばビタミンBとされており、 疲れているときには、豚肉、うなぎ、にんにくなどビタミンBを多く含む食品が好まれ、 疲労回復に役立っています。

一方、ビタミンBを摂取したものの、疲労回復効果がほとんどなかったという人も存在します。

ビタミンBはどの程度疲労回復に効果があるのでしょうか。
なぜビタミンBの効果がない人がいるのでしょうか。
ここでは疲労とビタミンBの関係について、解説しています。

疲労に関係するビタミンB

疲労の原因~ビタミンB~
ビタミンBは複合体のため、厳密には8つのビタミンBから構成されています。

ビタミンBは身体のエネルギーを作る代謝工程に多くに利用されることから、ビタミンBが不足すると、 身体を動かすのに必要なエネルギーを作れなくなり疲労を感じます。

その他、ホルモン生産、血流・貧血改善、ストレス抵抗性を上げたり、中枢機能を補助したり、他の栄養素の吸収補助など、 ビタミンBのどの作用も疲労と深い関係があるため、ビタミンBは疲労に効果があると言われます。

ビタミンBの種類と疲労
ビタミン名 化合物名 エネルギー
生産
ストレス性
疲労
貧血
疲労
慢性
その他
疲労
その他
欠乏症状
B1 チアミン
  • 脚気
  • アルツハイマー
  • 神経炎、関節痛、筋肉痛
B2 リボフラビン
  • 成長障害
  • 口角炎
  • 目の充血
B3 ナイアシン
  • 極度の赤み
  • 肌荒れ
  • 口内炎
B5 パントテン酸
  • 成長停止、体重減少
  • 皮膚炎
  • 副腎障害
B6 ピリドキシン
  • 皮膚炎
  • 口内炎、口角炎
  • 免疫機能低下
B7 ビオチン
  • 白髪
  • 結膜炎
  • 筋肉痛
B9 葉酸
  • 貧血(葉酸欠乏性)
  • 頭痛
  • 動悸、耳鳴り
B12 コバラミン
  • 失禁
  • 物忘れ
  • 体重減少
参考:wiki ビタミンBの各ページ
備考:
・ストレス性疲労は副腎疲労、うつ病の治療薬に使われるもの、及びストレス耐性を上げる効果があるものを対象としています。
・貧血疲労は赤血球またはヘモグロビンの生産に寄与し、その不足によって疲労症状が出るものを対象としています。
・慢性その他疲労は慢性疲労症候群(CFS)の改善に効果があるもの、および、不足によって疲労症状が出るもののうち他に分類できないものを参考としています。

ビタミンBと疲労に関する誤解

疲労の原因~ビタミンB~
ビタミンBは疲労に効果があると言われ、様々なサプリメントや食べ物を通じてその効果を実感している人が大勢います。
そして、ビタミンBは実際に疲労に効果があります。

しかし、ビタミンBが全ての人に効果があるのか、というとそういう訳ではありません。 ビタミンBは全ての疲労の万能薬ではありません。

ビタミンBは疲労の中でも特にビタミンBが欠乏している人に効果があります。 言い換えると、ビタミンBは十分に摂取できている場合にはあまり効果がない場合があります。

そのため、ビタミンBの効果があるかどうかは、 「ビタミンB不足による疲労なのか」、 「ビタミンBを摂取することで回復するタイプの疲労なのか」、 を見極めることが非常に重要になります。 また、ビタミンBの種類によっては、過剰摂取により疲労や他の疾患の症状が出ることもあります。
以下、各ビタミンBに効果のある症状、不足の影響、必要摂取量、過剰症状、不足しがちな人について、紹介しています。

ビタミンB1(チアミン)不足による疲労

ビタミンB1(チアミン)不足による疲労
ビタミンB1(チアミン)が不足すると、無気力、抑うつ、倦怠感などうつ病に似た症状が出ることがあります。
ビタミンB1(チアミン)はこれら症状を緩和し、ストレス耐性が向上することから、他のビタミンBと並んで「アンチストレスビタミン」とも呼ばれます。

また、線維筋痛症、潰瘍性大腸炎、炎症性腸疾患(IBD)を原因とする病的疲労に対して、 治療用量として高用量のチアミンを投与すると症状を改善する効果があります。

ビタミンB1(チアミン)の必要摂取量

チアミンは豚肉、うなぎ、すじこ、はつ(牛、豚、鳥)、レバー(牛、豚、鳥)など、 多く含まれる食品が限られるため、 しっかりとビタミンB1を取る食事を意識していないと、意外と不足気味になる栄養素です。

必要摂取量(1日) 男性(※1):1.08~1.29mg
女性(※2):0.86~1.03mg
多く含まれる食品 豚ヒレ肉(100g) 0.98mg
豚もも肉(脂身付)(100g) 0.90mg
うなぎ蒲焼き(100g) 0.75mg
その他B1を多く含む食品 すじこ、はつ(牛、豚、鳥)、レバー(牛、豚、鳥)、など
過剰症状 3,000mg/日以上

3,000mg/日以上チアミンの慢性的な服用は、さまざまな毒性を示唆する臨床症状を示すことが報告されています。
10gのチアミン塩酸塩を2週間半の間毎日飲み続けところ、頭痛、いらだち、不眠、速脈、脆弱化、接触皮膚炎、かゆみが発生しましたが、 摂取中止後、2日間で症状は消えたことが報告されています。
参考:厚生労働省
※1:男性の求め方:男性摂取カロリーを一日2,000kcalとし、1,000kcalあたりチアミン必要量0.54mgに推奨量固定係数1.2倍を乗じて算出
※2:女性の求め方:女性摂取カロリーを一日1,600kcalとし、1,000kcalあたりチアミン必要量0.54mgに推奨量固定係数1.2倍を乗じて算出

ビタミンB1(チアミン)が不足しがちな人

ビタミンB1(チアミン)は上記のとおり、多く含まれる食品が限られるため、意識して摂取しないと意外と不足しがちになります。
また、ビタミンB1(チアミン)は水溶性ビタミンで体内に蓄えておくことができないため、毎日摂取する必要があります。

その他、食事で十分に補えている場合でも、以下の症状を持つ人はビタミンB1(チアミン)が不足しがちになるため注意が必要です。
  • アルコール依存症、または多飲量
  • 糖尿病
  • 摂食障害
  • HIV感染症/エイズ
  • 透析中
  • 利尿薬の使用

ビタミンB5(パントテン酸)不足による疲労

ビタミンB5(パントテン酸)不足による疲労
ビタミンB5(パントテン酸)不足による疲労は大きく、ストレス耐性、倦怠感、貧血の疲労に分類されます。

ビタミンB5(パントテン酸)は副腎に栄養を与え、コルチゾール、アルドステロンなどのホルモン生産を助けます。
これら副腎皮質ホルモンはストレスに抵抗性を上げるために分泌されるホルモンで、ホルモン分泌が低下するとそれだけストレス耐性が弱くなり疲労へとつながります。
特に欠乏は、副腎そのものを縮小させてしまいます。

また、ビタミンB5(パントテン酸)は他のビタミンBとともに赤血球、ヘモグロビンの生産に寄与するため、不足すると貧血からくる疲労へとつながります。
その他、ビタミンB5(パントテン酸)が不足すると、倦怠感や全身疲労の症状が出るとされていますが、 多くの食品に含まれる栄養素のため、欠乏そのものの発生が非常に稀でほとんど研究されていません。

ビタミンB5(パントテン酸)の必要摂取量

ビタミンB5(パントテン酸)は非常に多くの食品に含まれる栄養素です。
レバー(牛、豚、鳥)や卵、納豆に多く含まれる以外に、魚介類、きのこ類、肉類など幅広い食品に含まれます。
また、おのおのの食物に含まれる量が、一日推奨摂取量を十分満たすため、不足することはほとんどありません。

必要摂取量(1日) 中央値:3~7mg
平均値:4.6mg
多く含まれる食品 レバー(豚、鳥、牛)(100g) 6.4~10.1mg
納豆(100g) 3.6mg
卵(100g) 1.45mg
その他B5を多く含む食品 肉類、魚介類、きのこ類、ナッツなど
過剰症状 報告なし
参考:厚生労働省
参考:平成17年及び18年国民健康・栄養調査

ビタミンB5(パントテン酸)が不足しがちな人

ビタミンB5(パントテン酸)を食事で十分に補えている場合でも、 アルコール依存症、経口避妊薬服用、吸収障害などの疾患、症状を持つ人では不足することがあります。

ビタミンB6(ピリドキシン)不足による疲労

ビタミンB6(ピリドキシン)不足による疲労
ビタミンB6(ピリドキシン)が不足すると、疲労、気分のむら、傾眠などの症状の他、 リンパ球の増殖が抑えられるため、抗体産生能力が低下し、疲労につながる各種疾患を招くことがあります。

また、他のビタミンB同様、酸素結合を補助するヘモグロビンの生成に関与するため、 不足すると貧血による疲労を招くことがあります。

ビタミンB6(ピリドキシン)の必要摂取量

ビタミンB6(ピリドキシン)は魚などに多く含まれるため、意外と不足しがちな栄養素です。
魚以外に、ニンニク、肉類、レバーに多く含まれるものの、その他食物の含有量は意外と少なくなっています。

男性推奨量である1.38mgを摂取するには、お肉やお魚だとおおよそ300g程度消費することが必要なため、 一品で1日の必要摂取量を賄うには意外と苦労します。

必要摂取量(1日) 男性(※1):1.38mg
女性(※2):1.15mg
多く含まれる食品 にんにく(100g) 1.5mg
まぐろキハダ(100g) 0.84mg
かつお(100g) 0.76mg
その他B6を多く含む食品 鮭、アジ、さんま、肉類、レバー(牛、豚、鳥)
過剰症状 300mg/日

ピリドキシン(ビタミンB6)を大量摂取時に、感覚性ニューロパシーという明確な悪影響が観察されます。
この感覚性ニューロパシーを指標として、耐容上限量を策定しています。
手根管症候群の患者 24 人にピリドキシン 100~300 mg/日を4か月間投与したが、感覚神経障害は認められなかったという報告があり、 この報告から、健康障害非発現量を 300 mg/日としています。
参考:厚生労働省
※1:男性の求め方:血中PLP濃度30nmol/Lに維持できる推奨平均タンパク質必要量(0.019×1.2)に1日推奨摂取タンパク質量60gを乗じて算出
※1:男性の求め方:血中PLP濃度30nmol/Lに維持できる推奨平均タンパク質必要量(0.019×1.2)に1日推奨摂取タンパク質量50gを乗じて算出

ビタミンB6(ピリドキシン)が不足しがちな人

ビタミンB6(ピリドキシン)は上記のとおり、多く含まれる食品が限られるだけでなく、 食事量と比較して含有量が少ないのがネックです。
例えば、ニンニク100gにはビタミンB6(ピリドキシン)が1.5mg含まれるものの、ニンニク100gを1食あるいは、毎日摂取することはかなり苦労します。

また、ビタミンB6(ピリドキシン)は水溶性ビタミンで体内に蓄えておくことができないため、毎日摂取する必要があります。 その他、食事で十分に補えている場合でも、以下の症状を持つ人はビタミンB6(ピリドキシン)が不足しがちになるため注意が必要です。
  • 喫煙者
  • 経口避妊薬常用者
  • アルコール依存症、または多飲量

ビタミンB9(葉酸)不足による疲労

ビタミンB6(ピリドキシン)不足による疲労
ビタミンB9(葉酸)が不足すると、食欲減退、体重減少とそれに伴う疲労感の症状が出ます。

また、ビタミンB9(葉酸)不足によって葉酸欠乏性貧血を引き起こすことがあります。
葉酸は赤血球を生産するのに必要な栄養素のため、 葉酸が不足すると、酸素や鉄分を運ぶヘモグロビンが不足し、貧血とそれに伴う疲労や無気力感が現れます

その他、ビタミンB9(葉酸)はホモシステインと呼ばれる物質の生成を抑制することで、うつ病の発症リスクを低減させることが分かっています。

ビタミンB9(葉酸)の必要摂取量

ビタミンB9(葉酸)も多くの食物に含まれます。
レバー(牛、豚、鳥)やアブラナ科の野菜が突出して多いものの、 他の食物の含有量は決して多くないため、しっかりと意識して摂取する必要がありそうです。

必要摂取量(1日) 240μg(=0.24mg)
多く含まれる食品 レバー(牛、豚、鳥)(100g) 810~1,300μg
モロヘイヤ(100g) 250μg
パセリ(100g) 220μg
その他B5を多く含む食品 ブロッコリー、アスパラガス、すじこ、卵、納豆
過剰症状 報告はあるものの、具体的には数値化せず。

葉酸の過剰摂取により、脳卒中、心筋梗塞など循環器疾患発症率が高くなるとの報告が複数あるものの、 一方で予防効果があるとの報告もあり、結果は様々です。
また、研究結果の原因が葉酸によるものと断定できないため、中毒報告はあるもの、具体的数値としては設定されていないようです。
参考:厚生労働省

ビタミンB9(葉酸)が不足しがちな人

ビタミンB9(葉酸)は上記のとおり、多く含まれる食品がレバーとアブラナ科を中心とした野菜、すじこ、卵、納豆など、 男女問わず嫌いな人は全く食べない食品に多く含まれまるため、これら食品が嫌いな人は注意が必要です。
また、ビタミンB9(葉酸)は水溶性ビタミンで体内に蓄えておくことができないため、毎日摂取する必要があります。

その他、妊婦の場合、必要量そのものが多くなります。
葉酸が欠乏すると、本人だけでなく、神経管欠損症、未熟児を出産する可能性が高くなるなど、胎児に関連する問題が発生することがあります。
その他、食事で十分に補えている場合でも、以下の症状を持つ人はビタミンB9(葉酸)が不足しがちになるため注意が必要です。
  • 貧血
  • 吸収不良
  • 妊娠、授乳期
  • 喫煙
  • アルコール依存症、または多飲量
  • 透析

ビタミンB12(コバラミン)不足による疲労

ビタミンB12(コバラミン)不足による疲労
ビタミンB12(コバラミン)の不足は疲労、貧血、うつ病の率が高くなることが知られています。

ビタミンB12(コバラミン)は葉酸の欠乏とともに、疲労を伴う悪性貧血として知られる巨赤芽球性貧血を引き起こします。
また、慢性疲労症候群患者にビタミンB12(コバラミン)を投与すると、認知機能が改善するなど、 症状の緩和、改善に効果があります。

ビタミンB12(コバラミン)の必要摂取量

ビタミンB12(コバラミン)はほとんどの魚貝類に非常に多く含まれます。
また、肉類は魚貝類と比較すると少ないものの、総じて含まれています。
ただし、その他食物は含有量が総じて少ないため、ベジタリアンの人は特に注意が必要です。

必要摂取量(1日) 2.0μg(=0.002mg)
多く含まれる食品 しじみ(100g) 62.4μg
赤貝(100g) 59.2μg
あさり(100g) 52.4μg
その他B12を多く含む食品 貝類、魚、レバー(牛、豚、鳥)、たらこ、さんま
過剰症状 設定なし

大量(500 μg 以上)のシアノコバラミンを経口投与した場合でも内因子は非依存的に投与量の1% 程度が吸収されるのみで、 過剰症は認められないことから、耐容上限量は設定されていません。
参考:厚生労働省

ビタミンB12(コバラミン)が不足しがちな人

ビタミンB12は魚に多く含まれ、また、肉類にも微量ながら含まれるものの、 他の食品にはほとんど含まれないため、ベジタリアンの人は特に不足しがちになるため、注意が必要です。

50歳以上は多めに摂取、または、若いころから多めに摂取

50 歳以上の多くの中高年は萎縮性胃炎などで胃酸分泌量が低下し、 食品中に含まれるたんぱく質と結合したビタミンB12の吸収率が減少します。

また、ビタミンB12欠乏状態の高齢者に、遊離型ビタミンB12強化食品やビタミンB12を含むサプリメントを数か月間摂取させると、 ビタミンB12の栄養状態が改善されることが報告されています。

そのため、加齢に伴う体内ビタミンB12貯蔵量の減少に備えるためには、 若年成人からビタミン B12を6~10 μg/日程度摂取することで、 体内ビタミン B12 貯蔵量を増大させ、高濃度に維持させておくことが必要であるとされています。
参考:厚生労働省「日本人の食事摂取基準」(2010年版)

圧倒的なビタミンB含有により疲労回復に効く市販品

ビタミンBが不足している人におすすめの疲労回復商品はQPコーワゴールドとアリナミンです。
両商品とも値段は高価なものの、他の一般的なビタミンB含有サプリメントと比較すると、一日の上限摂取量を満たす範囲内で非常に多くのビタミンBが含まれています。

また、両商品ともビタミンBだけでなく、疲労回復に焦点を当てた他の栄養素も多く含まれているため、 疲労回復商品としてのコストパフォーマンスも非常に高くなっています。
詳しくは、疲労回復にQPコーワゴールドとアリナミンをご参照下さい。


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