副腎疲労チェック
副腎疲労かどうかを判断するのに、 副腎疲労の各種症状を確認する以外に、 ご家庭や病院でできるいくつかの検査方法があります。ご家庭でできる副腎疲労チェックは、 副腎疲労が大幅に進んだ状態しか判断できないものの、 ご自身の病気が不明な場合には、効果のある方法です。
また、病院では簡単な検査で、 副腎の状態もチェックすることができます。
副腎疲労のチェック方法
■ご自身できる簡易検査
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血圧測定
寝ている(睡眠ではなく横になる)時の血圧と、 立った時の血圧を比較することで、 副腎疲労かどうか判断できます。理由は、健康な人の場合、 立ち上がることで血圧が上昇するからです。
一方、副腎疲労患者(副腎の機能が低下している)の場合、 アルドステロンやアドレナリンの分泌が少ないことから、 立ち上がっても血圧を上げることができません。
方法は、 5分程度横になり安静にした後、血圧を測り、 測り終えたらそのまま立ち上がって、再度血圧を測ります。
起立時の血圧低下の割合が大きい場合(10mmHg以上)、 副腎機能が単に低下しているだけでなく、副腎不全の可能性も考えられます。
起立時の血圧と副腎疲労の可能性
起立時の血圧 | 可能性 |
血圧が上昇、または、変化なし | 健康 |
低下 | 副腎疲労、副腎機能の低下 |
※変化がない場合も「問題あり」とする医師や病院もあります。
瞳孔テスト
1924年、アロヨ医師によって提唱された検査方法です。健康な人の場合、眩しい光を見ると、 瞳孔を収縮します。
しかし、副腎疲労患者では、 アルドステロンの分泌が不足することから、 瞳孔を長く収縮することができません。
瞳孔テストの方法は、 瞳孔の大きさの比較が必要なため、 最初に部屋のあかり程度の明るさで瞳孔の大きさを確認後、 部屋を暗くして、目にライトを当て、ライトを当てた目の瞳孔の大きさを鏡で確認します。
ライトを当ててすぐに瞳孔が小さくなり、 かつ、その大きさが2分以上保持されていれば、 健康です。
副腎疲労患者の場合、瞳孔を2分以上収縮したまま保つことができなかったり、 ライトを照射後、瞳孔そのものが小さくなるのに時間がかかったり、 途中で瞳孔が拡大した時、再度瞳孔を収縮するのに、30~45秒程度かかるなどの症状が出る場合は、 副腎疲労の可能性が示唆されています。
セルジャンの副腎ホワイトライン
セルジャンの副腎ホワイトラインとは、 指や少し尖ったもの(例:スプーンやフォークの持ち手側) などでお腹や腕の内側に線を引いた時の反応を見る方法です。健康な人の場合、線を引いた部分は10~15秒以内に赤くなりますが、 副腎疲労患者の場合、線を引いた部分がそれ以上の時間、白いまま保たれます(赤くなりません)。
ただし、この試験はアジソン病(副腎機能が低下した副腎皮質ホルモンの分泌が低下した病気)の検査に利用されていたため、副腎の疲弊度が緩やかな場合には、この反応がでない場合があります。
唾液コルチゾール検査
病院における副腎疲労の最も著名な検査方法です。病院によって価格は異なるものの、安価な場合は1万円~程度で検査可能です。
血清遊離コルチゾールの値
測定時間 | 正常(下限~上限) |
朝 | 140~700nmol/L |
5~25μg/dL | |
夜間 | 80~350nmol/L |
2.9~13μg/dL |
ACTHテスト
コルチゾール検査の実施後、 ACTHを注射し、再度血中コルチゾールレベルを測定する方法です。ACTH(副腎皮質刺激ホルモン)はその名称の通り、 副腎を刺激し、副腎皮質ホルモンの分泌を促進します。
健康な人の場合、このテストにより、 コルチゾールの値が2倍以上に増加しますが、 それ以下の場合、副腎機能の低下、副腎不全の可能性があります。
甲状腺テスト
副腎と甲状腺はお互いに関係しています。副腎から放出されるコルチゾールなどのグルココルチコイドが、 甲状腺ホルモンの分泌に必要なTSHを抑制し、 甲状腺から分泌される甲状腺ホルモン(T3,T4)を阻害するからです。
そのため、甲状腺機能低下症の症状が見られる場合や、 甲状腺ホルモンに関わる血液検査の結果によっては、 副腎疲労の可能性があります。
甲状腺の症状や検査については、 甲状腺機能低下症が疲労の原因か判断する をご参照下さい。
コルチゾール/ DHEA比率
コルチゾール/ DHEA比率は、副腎疲労の進行度をある程度知ることができる方法です。また、コルチゾール/DHEA比率を知る上で、欠かせないホルモンが、 プレグネノロンです。 プレグネノロンは、コルチゾールとDHEAの前駆体(元となる物質)で、 副腎皮質で作られます。
ストレスの初期には、副腎の活性化により、 プレグネノロンが過剰に生産されるものの、 「コルチゾール・スティール(盗む)」と呼ばれる様に、 コルチゾールがDHEAの前駆体でもあるプレグネノロンを奪ってしまいます。
その結果、コルチゾールだけが過剰に生産され、 DHEAの値は低下します。
その後もストレスの継続により副腎が疲弊し、機能が低下すると、 プレグネノロンの産出そのものが減少し、 コルチゾール、DHEAの両方が低下し、 最終的には、コルチゾール、DHEA、プレグネノロンの全ての産出が著しく低下してしまいます。
2009年、精神神経内分泌学に掲載されたキングスカレッジの研究によると、 DHEAとコルチゾールの比率が適切なバランスにあるとき、副腎は最適な状態にあるとし、 この比率を測定することで、副腎機能を評価することができ、 また、コルチゾールレベルが上昇しており、DHEAが低い場合は、 慢性ストレス応答である、と述べています。
副腎疲労と似た病気を疑う
副腎疲労と同様の症状が出る病気がいくつかあります。- アジソン病(副腎機能低下症)
- クッシング症候群(コルチゾール過剰分泌)
- 甲状腺機能低下症
- 慢性疲労症候群
- 更年期障害(女性)
- LOH症候群(男性更年期障害)
- ステロイド薬(ご参照:コルチゾールの働き)
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