アロマ・香りで疲労回復
アロマテラピーは心や身体の不調を癒やしてくれる医療です。アロマ(香り)でテラピー(治療)することから、芳香医療とも呼ばれます。
植物の花、葉、種子、根、皮などから生成されるその香りは、 植物ごとに様々な効能があり、疲労回復やストレス解消に役立ってくれます。
アロマテラピーによる疲労回復は通常医療と比較すると穏やかではあるものの、 症状が軽度である場合には即効性があるため、効果を実感しやすくなっています。
また、手軽に始めることができるため、アロマテラピーは人気の疲労回復、ストレス解消法になっています。
ここでは疲労回復の観点から、 特に中枢性疲労(倦怠感、やる気、集中力、不安解消)に効果があるアロマテラピーや自然の香りの効果について、紹介しています。
アロマテラピーがなぜ疲労回復に効果があるのか
アロマテラピーによる治療方法にはトリートメント、入浴など様々な利用方法がありますが、 多くの人に馴染みのあるのは香りを楽しむ方法です。そして、香りを楽しむ方法によるアロマテラピーの効果は、脳やホルモン分泌の作用によってもたらされます。
この作用によって中枢性疲労回復、ストレス解消、リラックスなどの効果を得ることができます。
アロマテラピーの効果のメカニズム
エッセンシャルオイルの香りは鼻を通じて、大脳辺縁系で処理されます。大脳辺縁系はこの香りに応じて、情動と結びつき、感情を呼び起こしたり行動を促すとともに、 視床下部に電気信号を伝えて、 ホルモンの分泌を促し、血流を増加させたり、血中酸素を増やすなど各臓器を調整します。
その結果、エッセンシャルオイルの香りに応じて不安を解消したり、 疲労を回復したり、集中力を増したり、やる気が出たり、 気分をリラックスさせるといった効果が現れます。
利用には注意が必要
アロマテラピーは女性を中心に認知度が高まりつつあるものの、使用についてはいくつかの注意が必要です。- エッセンシャルオイルの種類によって、アレルギー反応が含まれることがあります。
- 妊婦や幼児に悪影響のあるエッセンシャルオイルもあります。
- 経口摂取や皮膚添付は害を及ぼす場合があるため、専門家の指導が必要です。
- 油分が多く含まれる場合、火気近くでの利用は厳禁です。
- エッセンシャルオイルとは植物原料100%のものを指し、いくつかの混ぜ物が入ったアロマオイルとは異なります。そのため、アロマオイルだとその効能を完全に享受できない場合があります。
- ティッシュに含ませて香りをかいだり、お湯に含ませて香りを楽しむ場合、1%希釈(1滴もしくは多くとも数滴)で十分に効果があります。
疲労に効くアロマテラピー
疲労に効果のあるエッセンシャルオイルは多いものの、 ここでは、3種類「脳疲労」、「やるき、集中力、リフレッシュ」、「精神安定、不安解消」の代表的なアロマを紹介しています。ローズマリー
具体的には脳疲労の原因の一つである血流低下を防ぎ、疲労回復に貢献します。
その他、ローズマリーは記憶の改善に良いとされ、認知症の症状改善にも利用されています。
少し近しいタイプに、副腎皮質を刺激しアドレナリン分泌を促す、ゼラニウムがあります。
ローズマリーに含まれる主な成分とその効能
成分 | 効能 |
1,8シネオール | 脳の血流を増加させ、疲労を回復する |
カルノシン酸 | 記憶力改善、アルツハイマー病に利用 |
その他含有成分 | α-ピネン、β-ピネン、ボルネオールなど |
ペパーミント
また、敏捷性や集中力を強化し、倦怠感や無気力を緩和するため、 抑うつに対して治療効果、疲労回復効果があります。ユーカリにも似たような効能があります。
ペパーミントに含まれる主な成分とその効能
成分 | 効能 |
1,8シネオール | 脳の血流を増加させ、疲労を回復する |
メントール | 眠気防止、気分転換、集中力の強化 |
その他含有成分 | 酢酸メチル、シネオール、リモネン、β-ピネンなど |
ラベンダー
ティッシュペーパーなどに精油を1滴落とし、枕もとに置いておくと精神を沈め、睡眠しやすくなります。
カモミールにも似たような効能があります。
ラベンダーに含まれる主な成分とその効能
成分 | 効能 |
酢酸リナリル | 鎮静作用 |
βカリオフィレン | 不安解消、憂うつ軽減 |
その他含有成分 | リナロール、カンファー、オシメン、リモネンなど |
自然のアロマ・香りで疲労回復
「森林浴」、「園芸作業・庭作業」、「公園散歩」など自然の緑に触れることで得られる香りにも、 アロマテラピーに劣らず疲労回復効果があります。ある研究において、 緑の香りに含まれる青葉アルコール、青葉アルデヒドの香りを嗅いでいると、 疲労に伴い活動が下がってくる脳の前帯状皮質の活動が落ちにくくなることが実証されています。
また、ハーブの園芸作業と疲労の関係を検証する実験において、 園芸作業は神経症症状の改善や緊張、不安、抑うつ感、疲労感などを減少させる効果がありました。
疲労度の指標となる唾液中のコルチゾール濃度を低下させ、作業によるストレスを緩和し、中枢性疲労の回復効果が認められました。
特に室内での園芸作業よりも、屋外での作業の方が効果が高いようです。
イギリスで行われた研究では、 脳に脳波装置をつけて外出する実験を行ったところ、 公園や緑地の散歩は精神疲労を回復し、脳波は瞑想時に近いものになり、 自動車の行き交う道路や商業地区での散歩は、興奮やイライラの感情に近いものになったとしています。
公園や植物園のような緑の多い広場は、中枢性疲労を回復し、ストレスを軽減し、集中力を改善する効果があります。
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